『LIFE SHIFT ライフシフト 100年時代の人生戦略』 リンダ・グラットン, アンドリュー・スコット (書評・近藤慎太郎)

 

この著者の前作『WORK SHIFT』も世界的な大ベストセラーになっています。

 

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

 

 

こちらもなかなか示唆に富んだ本でした。

 

それと比べると、本書の場合は同じようなことを手を変え品を変え述べているので、重複を大胆にカットすれば、半分ぐらいのページ数になるように思います(笑)。

ただ内容が面白いので、あまり気になりません。読む楽しさに溢れているのです。もちろんそうでなければ、世界的なベストセラーにはならないでしょう。

 

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

 

 

ごく簡単にまとめると、環境、栄養、医療の進歩で、大半の人が100年生きるようになる世の中で、お金、生きがいをどう持続させていくか、という内容です。

 

とはいえ、「未来を正確に予測することは不可能」だとして、それは早々に放棄しています(賢明な判断だと思います)。

その上で、1945年生まれ、1971年生まれ、1998年生まれの3人の人物のライフスタイルにどのような違いが生まれていくかをやや抽象的、概念的に比較検討しています。

 

1945年生まれの人物にとっては、人生は教育、仕事、引退の3ステージがかなりクリアカットに分かれていて、「確実性と予測可能性がある人生」でした。

しかし、人生が長くなれば、不確実性が増します。

だから、1998年生まれの人物にとっては、労働市場の変化に対応するために、人生の途中で時間を割いて(場合によっては現在のキャリアを手放して)新しいスキルを取得する必要がある。そしてその結果、生涯に二つか三つのキャリアをもつという、マルチステージの人生を生きることになるだろう、と予測します。

それは確かにそうでしょう。1972年生まれの私だってそう思いますので(笑)。

 

ただしその潮流を企業は歓迎しないだろうとも指摘します。もちろん企業にとって人材は流動性が低くて予測可能性が高いに越したことはないからです。

柔軟な働き方を求める個人と、標準化を望む企業が激しくぶつかり合うかもしれません。その一方で、そのリクエストにこたえられる企業が人気を集めて生き残っていくのでしょう。

 

またもう一つ重要な指摘があります。マルチステージの人生を実践するためには、人生の道筋を確定させることを先延ばしし、柔軟性を維持する必要がありますが、それが従来の人生を歩んできた親世代には、責任感や真剣さが足りないように映るだろうということです。世代間の相互不信に拍車がかかるだろうと。

 

ここが本書で私が一番なるほどと思った部分です。

どの時代でも「今どきの若いもんは…」と言われてきたと思いますが、たとえ同じ時代を生きていても、世代によって見えている景色というのはまったく違うのでしょう。そして若い世代に見えている世の中の諸問題は、それよりも上の世代が多かれ少なかれ参画してつくり上げてきてしまったものなのです。それを若い世代がどう評価してどう対応しようとも、口をさしはさむ権利はないのかもしれません。

 

内容についてあまり詳しく解説しても読書の楽しみを奪うだけなのでこれぐらいにしますが、基本的には「よし、じゃあがんばろう!」とやる気にさせる啓発書です。

気楽な気持ちでどうぞ。

 

(文・近藤慎太郎)

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

 

日経ビジネスオンライン第25回目は、『PET検査、「毎年受ける」のは間違い?』です!

日経ビジネスオンラインでの週刊連載、『医療格差は人生格差』。

今回からは3回にわたって、PET検査と血液がん検診について解説します。

 

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本連載ではこれまで、様々ながん検診について解説してきました。それらは、原則的に一種類のがんに対して個別の検査方法を対応させるものでした。

 

例えば肺がんには胸部レントゲン、大腸がんには大腸カメラ、乳がんにはマンモグラフィーといった具合です。

 

当たり前のことですが、乳がん内視鏡で見つけることは不可能です。臓器の形や場所といった特徴に合わせて、それに最も適した検査方法を採用しているのです。それが、現状では診断能力を高めるための一番の近道でした。

 

その一方、もし1回の検査で複数のがんがチェックできればどうでしょうか?

時間も、肉体的な負担も少なくて済むし、こんなに良いことはありません。

そのように、「1回の検査で“網羅的に”がんを見つけよう」という試みについて解説します。まずはPETによるがん検診です。

 

ぜひご一読ください!

(文・近藤慎太郎)

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

 

日経ビジネスオンライン第24回目は、『乳がん検診で、絶対にあなたがすべきこと』です!

日経ビジネスオンラインでの週刊連載、『医療格差は人生格差』。

今回も前回から引き続き、乳がんについて解説します。

 

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近年、乳がん検診が揺らいでいます。

乳がん検診を受けていたにも関わらず、乳がんを早期の段階で見つけることができなかったというケースが散見されているからです。

この原因の一つと考えられるのは、マンモグラフィーの診断能力が、日本人に多い「高濃度乳腺」の場合低くなってしまう、ということです。

ではこの弱点をカバーするためにはどうすればいいのでしょうか?

乳がん検診を受けた場合、絶対やってほしいことが一つあります…。

 

ぜひご一読ください!

(文・近藤慎太郎)

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

 

日経ビジネスオンライン第23回目は、『男も罹患する乳がん、あなたは大丈夫?』です!

日経ビジネスオンラインでの週刊連載、『医療格差は人生格差』。

今回から2回にわたって、乳がんについて解説します。

 

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乳がん罹患率のピークが40代後半から始まるという、若年者に多いがんです。小さい子供がいる場合も多いでしょうから、若年発症というのは本当に深刻な問題です。

そんな乳がんを遠ざけるためには、何ができるのでしょうか?

ぜひご一読ください!

(文・近藤慎太郎)

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

 

日経ビジネスオンライン第22回目は、『医者の本音「がんで死ぬのは意外と悪くない」』です!

日経ビジネスオンラインでの週刊連載、『医療格差は人生格差』。

前回に引き続き、今回も膵がんについて解説します。

 

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がんを遠ざける上で、一次予防(リスク因子を避ける)と二次予防(がん検診)は欠かすことのできない両輪です。

ただし、膵がんのように現状で二次予防が難しいがんは、相対的に一次予防のウェイトが大きくなります。つまり、発がんリスクをできるだけ減らすことが重要なのです。

膵がんのリスク因子については、医療者にも意外と知られていない、いくつかの盲点があります。その点をしっかり解説しつつも、膵がんなど悪性度の高いがんに対する心構えについて、私なりに提案してみました。

 

ぜひご一読ください!

(文・近藤慎太郎)

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

 

日経ビジネスオンライン第21回目は、『進行が早く悪性度の高い膵がん、罹患率は漸増中』です!

日経ビジネスオンラインでの週刊連載、『医療格差は人生格差』。

今回からは2回にわたって膵がんについて解説します。

 

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膵がんで亡くなった有名人には、九重親方(元・横綱千代の富士)やスティーブ・

ジョブズ、最近では星野仙一・元監督がいて、どの方も発症から比較的短期間に亡くなっています。

膵がんは恐ろしい病気ですが、非常に厄介なことに罹患率がジワジワと上がってきているのです。

厄介者、膵がんをなんとかすることはできるのでしょうか?

 

ぜひご一読ください!

(文・近藤慎太郎)

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

 

日経ビジネスオンライン第20回目は、『消化管の「暗黒大陸」小腸の検査方法は?』です!

日経ビジネスオンラインでの週刊連載、『医療格差は人生格差』。

今回は小腸について解説します。

 

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消化管には、食道、胃、小腸、大腸があります。このうち小腸は6㎜ほどある、消化管最長の臓器です。ただし、胃カメラや大腸カメラを使えば食道や胃、大腸は検査できるものの、小腸の検査はできません。

消化管の大部分を占める小腸は検査しなくていいのでしょうか?

そして、もし検査するとしたらどうすればいいのでしょうか?

 

カプセル内視鏡の現在と未来についても解説しました。

ぜひご一読ください!

(文・近藤慎太郎)

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

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