胃カメラをラクに受けるコツ

1.胃カメラが苦しいという、誤解…?

 

さてバリウム検査の次は、胃カメラの長所と短所を解説します。

 

ここで、皆さんの中には「胃カメラか…。」と暗い気持ちになっている方も多いと思います。

胃カメラをするとオエオエえずいて大変。よだれと涙と鼻水でグチャグチャになる。」という方もいらっしゃるでしょう。

残念ながら、胃カメラが苦しいというのは誤解とは言えません。

胃カメラは、腹部の超音波検査(エコー)のようにベッドに横になっていればおしまい、という検査とは違います。場合によっては非常に苦しくなってしまうことがありえるのです。

 

なぜ胃カメラが苦しいのかというと、人間には「嘔吐反射」と言う生理的な反射があるからです。

誰でもノドの奥に指を入れるとオエッとなるはずです。これが嘔吐反射です。

指の代わりに胃カメラを入れても同様のことが起こります。

これは人間には誰しも備わった体の機能なので、胃カメラを入れるとオエオエするという方がむしろ自然なことなのです。

 

ただし嘔吐反射があまりにも強いと、胃と食道のつなぎ目が裂けて出血することがあります。

また非常にまれですが、胃カメラでのどや食道の壁を傷つけて穴が開いてしまうことがあります(穿孔といいます)。

嘔吐反射や緊張が強ければ強いほど、これらの偶発症が起こる頻度が高まってしまうので、やはりできるだけ胃カメラをラクに受けるための工夫が必要になってくるのです。

 

 

2.胃カメラをラクに受けるコツ

 

胃カメラをラクに受けるためには、いくつかのコツがあります。

 

まず、検査の前には必ずノドの局所麻酔をします。

これにはドロッとした液体を含むやり方と、スプレーを散布するやり方があり、施設によっては併用する場合もあります。

この麻酔は刺激が強くて少し不快なのですが、これをしっかりやればやるほど嘔吐反射が抑えられ、胃カメラ自体はラクになります。

 

次に、検査中は深呼吸が大事です。一般的に「鼻から吸って口から吐く呼吸で」といいますが、みなさんそれぞれがやりやすい方法で結構です。とにかくゆっくり大きな深呼吸を続けます。

 

よくベロを動かして胃カメラが口の中に入ってくるのをブロックしようとする方もいますが、無駄な抵抗はやめましょう。ベロは下あごにピタッとくっつけて、ノドの奥をポカーンと大きくあけましょう。

ツバは飲み込むと気管に入ってむせ込むことがあるので、できるだけ飲まないで口の外に垂れ流します。

 

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それでも苦しい!という方ももちろんいらっしゃいます。

その場合は2つの選択肢があります。

 

 

3.鼻から胃カメラ??

 

1つは、麻酔の注射を使う胃カメラです。

 

麻酔で意識をボーっとさせて嘔吐反射を抑え込む、という方法です。

 

使う麻酔にはいくつかの種類があり、一種類だけ使うのか、もしくはいくつか併用するのかで麻酔の深度が変わっていきます。

もちろん使えば使うほど麻酔がしっかり効いて検査自体はラクに受けられますが、その分麻酔の副作用が出るリスクも上がります。そして検査後に意識がハッキリするまで病院の中で休む時間も長くなります。

また、当日は車の運転を控えた方がいいので、病院までバスやタクシーなどの公共交通機関を利用する必要がでてきます。

 

 

もう1つの選択肢は鼻から入れる胃カメラです。

 

実は胃カメラを鼻から入れると、単に解剖学的な理由で嘔吐反射が出にくくなるのです。

たとえば筆者の場合は、口からの胃カメラではかなり嘔吐反射が出る一方、鼻からだとほぼゼロでした。

「1時間でもできる」と思ったほどです。

 

ただしこれには個人差があり、中には「思ったほどラクじゃなかった」という方もいます。

また、鼻の中は複雑な構造になっているので、胃カメラがぶつかることによって痛みを感じたり、鼻血が出たりすることがあります。

 

これは私見ですが、がっちりとした体格の男性だと鼻からの胃カメラの恩恵が大きい(嘔吐反射が出にくい)ですが、鼻の小さな女性は鼻血のリスクもあり、口からの胃カメラの方が向いているように思います。

 

またその他の注意点として、鼻からの胃カメラは口からの胃カメラに比べて挿入する部分が細くなっているので、その分どうしても機能が犠牲になってしまっています。

画質がやや劣りますし、胃の中のアワなどを吸引してキレイにするのに時間がかかってしまうというマイナス面があります。

 

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4.自分なりの胃カメラをカスタマイズする

 

以上のように、胃カメラの選択肢には、

 

  1. オーソドックスな口からの胃カメラ
  2. 麻酔の注射を使う胃カメラ
  3. 鼻からの胃カメラ

 

の3種類があります。

 

ただし施設によっては一部の選択肢がない場合もありますので、検査を受ける場合には事前の確認が必要です。

 

どの選択肢にも一長一短があるので、これが正解というものはありません。

そして胃カメラは一度受ければそれでおしまいという検査ではないので(検査間隔については改めて詳しく解説します)、まずは一番興味がある選択肢を選び、場合によっては次回に他の選択肢を試すことによって、徐々に自分に一番合っているやり方を見つける、カスタマイズする、という心構えがいいと思います。

 

ただし大事な留意点として、慢性胃炎が強いなど胃がんのリスクが高い方は、機能の点から鼻からの胃カメラはお勧めしません。1か2を選んだ方が安全だと思います。

 

(文・イラスト 近藤慎太郎)

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