大腸内視鏡(大腸カメラ) vs 注腸検査 vs CTコロノグラフィー vs カプセル内視鏡…。勝者は??

1.カプセル内視鏡のデメリット

 

カプセル内視鏡は、内服すればいいだけなので、大腸カメラや注腸検査より検査としてラクなことが大きなメリットです。 また、注腸検査やCTコロノグラフィーのような医療被曝もありません。

 

ただし、実はそもそもカプセル内視鏡小腸の検査を目的として開発されたものであって、小腸では抜群の実力を発揮しますが、残念ながら大腸の検査には不向きです。デメリットが多いのです。

 

病気などで消化管の一部が狭くなっている、もしくはそれが疑われる場合は検査が受けられなくなってしまいます。カプセル内視鏡が狭くなっている部分につかえてしまい、体外に排泄されなくなってしまう恐れがあるからです。

 

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また、注腸検査、CTコロノグラフィーと同様に、カプセル内視鏡の検査結果で病変を疑う場合は、改めて大腸カメラが必要になります(二度手間)。

 

さらに、カプセル内視鏡自体が非常に高度な技術によって作られている精密機器なので、人間ドックなどの健康チェックのために検査をすると10万円前後の金額になってしまいます。いくつかの条件をクリアして保険適応になったとしても、3割負担で3万円掛かることになります。

 

そして何より現実的に問題になるのは、下剤による大腸の洗浄が4つの検査の中で一番大変ということです。

カプセル内視鏡は大腸がきれいになっていればいいわけではなく、大腸の中を液体の下剤でいっぱいに満たして拡張させ、潜水艦のようにその中をもぐって観察する必要があるのです。

そのため、大腸カメラで飲む液体の下剤は通常1~2L程度ですが、カプセル内視鏡の場合は4~6Lも飲まなくてはいけません。

みなさんは今までの人生で、何かの液体を一度に4~6L飲んだことがありますか?私はありません。

この下剤は2Lでも時として大変ですので、4~6Lというのはかなり高いハードルといえるでしょう。

 

2.以上を総合すると…

 

各検査ともにメリット・デメリットがありますが、色々な点を天秤にかけて考えると、現状では大腸カメラが第一選択になるでしょう。実際に、便潜血検査が陽性の場合には、ほとんどの施設が精密検査として大腸カメラを選択していると思います。

 

ただし大腸カメラは胃カメラ以上に術者の技量が検査内容を左右する検査です。受ける場合にはできるだけ事前にリサーチをして、評判のいい施設または医師を受診するようにお勧めいたします。

 

(文・イラスト 近藤慎太郎)

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