2016-01-01から1年間の記事一覧

食道がんは、ほかの臓器にがんを合併しやすい!

1.食道がんはどうやって見つかっているのか? さて、食道がんを見つけるための画像検査は何を受ければいいでしょうか? 食道のチェックに特化した検査というのはほとんどなく、以前に解説したとおり胃がん検診で胃のチェックと同時に食道のチェックをしてい…

意外と怖い逆流性食道炎

1.逆流性食道炎って? 最近各種メディアで取り上げられることも多いので、逆流性食道炎という病名を聞いたことがある方も多いかと思います。 逆流性食道炎は、胃から分泌される胃液が食道に逆流することによって生じます。 胃液は胃の中に入ってきた食事内…

「アルコール」×「タバコ」の破壊力

1.どれぐらいリスクを上げるのか? 「アルコール」と「タバコ」の2つが食道がんのリスク因子であることは多数の報告があり確実です。そして特筆すべきはそのリスクの大きさです。アルコールもタバコもたしなまない人に比べると発がんのリスクは、 アルコー…

食道がんは、男性というだけで要注意?

1.食道がんになった著名人は…? 著名な方が食道がんに罹患したというニュースを、時々目にすることがあります。どんな方がいるでしょうか? 漫画家の赤塚不二夫さん 落語家の立川談志さん 指揮者の小澤征爾さん 歌手の桑田佳祐さん 歌舞伎役者の中村勘三郎…

食道がんは本当に「治る」がんなのか?

1.食道がんの5年生存率は? 今まで「食道がんは治療が難しくて治りにくい病気」と言われてきました。 それはある程度正しい認識です。前回の冒頭でも、食道がん手術は体の負担が大きいと説明しました。 そんな食道がんを、本当に「治る」がんと呼んでいいの…

なぜ今、食道がんに注目しなくてはいけないのか

1.前回までのおさらい さて、少し間(あいだ)があいてしまいましたが、がん検診の話を再開したいと思います。 胃がん検診についての最後のブログで、「胃カメラの方がバリウム検査よりも明らかに優れている点は、食道を詳細に観察することができること。」…

『風の谷のナウシカ』 宮崎駿 その2 (書評・近藤慎太郎)

宮崎駿のマンガ版『風の谷のナウシカ』は、後世に残る傑作です。 ワイド判 風の谷のナウシカ 全7巻函入りセット 「トルメキア戦役バージョン」 (アニメージュ・コミックス・ワイド版) 作者: 宮崎駿 出版社/メーカー: 徳間書店 発売日: 2003/10/31 メディア:…

『風の谷のナウシカ』 宮崎駿 (書評・近藤慎太郎)

よく、「努力に勝る天才(才能)はない」という趣旨の文章を目にします。 確かに自分の才能にあぐらをかいて努力を怠ってしまい、コツコツ頑張ってきた人に抜かされてしまう人がいるのも事実です。 しかしその一方で、溢れんばかりの才能があって、さらに最…

『メメント・モリ』 藤原新也 (書評・近藤慎太郎)

「メメント・モリ」 ラテン語で「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」という意味の警句。(ウィキペディアより) 著者は東京芸大中退後にインドなどアジア各地を長期間放浪し、写真と文章が渾然一体となった作品を生み出し続けてきました。 本作品は代…

『「死への準備」日記』 千葉敦子 (書評・近藤慎太郎)

著者はフリーランスのジャーナリスト、ノンフィクション作家です。 日本とアメリカを舞台に様々なメディアに政治・経済のレポートを寄稿する一方、乳がんを患らってから亡くなるまでの6年以上、その治療と経過、自分の考えや感情の推移を克明に記録して1990…

『銀河鉄道の夜』宮沢賢治 (書評・近藤慎太郎)

みなさんの「初・宮沢賢治」はどの作品でしたか? 『どんぐりと山猫』? 『セロ弾きのゴーシュ』? 『雨ニモマケズ』? どれも忘れがたい作品です。 私の場合は『注文の多い料理店』でした。 確か、小学校2〜3年の国語の教科書に載っていたと記憶しています…

『大河の一滴』五木寛之 その2 (書評・近藤慎太郎)

前回、本書には、日本人の通奏低音として流れるイメージを喚起する力があると書きました。 大河の一滴 (幻冬舎文庫) 作者: 五木寛之 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 1999/03 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 58回 この商品を含むブログ (43件) を見る …

『大河の一滴』五木寛之 (書評・近藤慎太郎)

胃がん検診の話が一段落したので、食道がん検診の話に入る前に、気分を変えて何回か書評をしたいと思います。 ジャンルを問わずというわけにはいかないので、とりあえず『生と死をテーマにした本』という縛りを設けて、少しずつ紹介していきます。 さて、第1…

Amazonアソシエイト参加表明文

当サイト『医療のX丁目Y番地』は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。 2016/09/29 近藤慎太郎

胃カメラの方が優れている2つの理由

1.バリウム検査の構造的欠陥 前回の結論は、状況証拠的には胃カメラの方が優れていると推測できるものの、結局、「どちらが胃がんの発見率が高いかは、はっきりわからない」という事でした。 しかし、そのようなあいまいな状況の中でも、私はやはり胃カメラ…

バリウム検査と胃カメラ、実はどっちがいいかわからない

1.胃がんの発見率はどちらが高いのか? さて、2回にわたってバリウム検査と胃カメラの長所と短所を解説いたしました。 ざっくりまとめると、 1.バリウム検査は決してラクではない(体位変換が大変、誤嚥のリスク、バリウムが固まって便秘になる…)。医療被…

胃カメラをラクに受けるコツ

1.胃カメラが苦しいという、誤解…? さてバリウム検査の次は、胃カメラの長所と短所を解説します。 ここで、皆さんの中には「胃カメラか…。」と暗い気持ちになっている方も多いと思います。 「胃カメラをするとオエオエえずいて大変。よだれと涙と鼻水でグ…

バリウム検査はラクでもなんでもない

1.症状がない=病気がないという誤解 「症状がないから検査は必要ないよ。」 患者さんに胃がん検診をすすめると、時々このような反応が返ってきます。 もちろんこのような反応も、心情的にはよく理解できます。 なぜなら普段の生活で私たちがかかる一般的な…

『誤解だらけのがん検診』の講演会のレポートです

8月20日土曜日、スルガ銀行たまプラーザ支店にて、『誤解だらけのがん検診』の講演会を開催してきました! 行ってまずなによりも驚いたのが、お店のオシャレさ。 とても銀行とは思えません~! 図書館のようなカフェのような…。 たまプラーザは若い家族も多…

誤解だらけのピロリ菌

1.ピロリ菌についての医師と患者の誤解 ピロリ菌については、とても深刻な誤解が世の中に蔓延しています。 そして残念ながら、医師自身が誤解の普及に一役買っているケースすらあるのです。 それでは、ピロリ菌についてのよくある誤解を見ていきましょう。 …

胃がんが減っても食道がんが増える!?

1.ピロリ菌が陽性だったらどうすればいいのか? タバコががんのリスク因子であれば、禁煙することによって発がんのリスクを下げることができます。 では、胃がんのリスク因子であるピロリ菌に感染している場合はどうすればいいのでしょうか? この場合には…

ヘリコバクター・ピロリ菌という最重要課題

1.ほとんどの胃がんはヘリコバクター・ピロリ菌が関与する さて、胃がんのリスクを減らすためには、生活習慣の是正も欠かせませんが、なんといっても一番影響力の強い因子は、「ヘリコバクター・ピロリ菌」です。 ピロリ菌については各種メディアで盛んに報…

タバコで胃がんのリスクが上がる!?

1.胃はなんのためにあるのか 胃がんの患者数は、男性のがんの中で1位、女性で3位となっています。 また平成26年の胃がんの死亡数は男女合わせて約5万人(47903人)で、がんの中では肺がんに次いで2位になっています(がん情報サービス最新がん統計より)。 「治…

近藤慎太郎 講演:誤解だらけのがん検診

きたる8月20日10時半より、スルガ銀行たまプラーザ支店にて講演を行います。本ブログの全容をてっとり早く知るチャンスです(^^)。定員30名ですので、興味のある方はお早めにご予約ください。 www.d-laboweb.jp

がんとは闘わない方がいいという誤解

1.ここまでのまとめ さて、総論が大変長くなりました。 ここまでの内容をざっとまとめてみます。 日本人の死因は、1981年以降~現在に至るまで「がん」が他の疾患を大きく離して第1位となっています。日本人の3人に1人はがんで亡くなっています。 また、高…

がんで死ぬことは絶対いけないのか?

1.がんの治療は体に負担がかかる? 前回、「本物のがんは治らない」というがんもどき理論の非合理性について解説しました。 やはり、がんは早く見つければ見つけるほど治っています。 ここでもしかすると、「治療をすることによって体に大きな負担がかかり…

がんもどき理論の非合理性

1. 近藤誠氏 の『がんもどき理論』 さて、ここであらかじめ言及しておかなくてはいけないことが一つあります。 『患者よ、がんと闘うな』の著者である近藤誠氏は、「がんを早期発見する必要性はない」と主張しています。そして残念なことにその主張に惑わさ…

がんになりにくい体質にするということ

1.がんのリスク因子とは? 一次予防、つまり「がんになりにくい体質にする」ためには、「がんになる可能性を高めるリスク因子を除去する」ことが必要です。 では「リスク因子」にはどんなものがあるでしょうか? これは大きく2つに分けられます。 「生活習…

「治る」がんを見逃さないために必要な2つのポイント

1. どれぐらい治るのか 全国がん(成人病)センター協議会は臨床病期(以下、ステージ)別の5年生存率を発表しています。 5年生存率というのは、がんが見つかった時点から5年後にも、その患者さんが生存している割あいのことです。 ステージⅠ期(早期に発…

どういう方が乳がんになりやすいのか?

最近、北斗晶さん、小林麻央さんなど、乳がんと闘病中の方のニュースが盛んに報道されています。実際に乳がんの罹患率(がんになる方の数)、死亡率(がんで亡くなる方の数)は近年明らかに増加していて、社会的な関心も非常に高まっています。 本ブログでは…