2月の25日に、当ブログの内容を書籍化した『がんで助かる人、助からない人』が発売されました!
これもひとえに当ブログにお付き合いいただいたみなさまのおかげです。心より感謝いたします。
また、気になってこまめにチェックしていたところ、一瞬アマゾンの医療関係の新着ランキングの1位を獲得いたしました!ほんの一瞬ですが(笑)。その瞬間を写真に撮れたのは奇跡です。
「売れて本屋で平積みとかになったらどうしよう〜♪」と思って、いちおう出版社に売れ行きを確認したところ、「発売後1ヶ月経っておらず集計が出ていないから詳しくは分からないが、売れなくて困るほど売れてないっていうわけではない」という大変微妙なコメントが返ってきました。「手応えとして別に普通」だそうです。心配は杞憂のようです。
さて前置きが長くなりましたが、今回は私が書籍を出そうと思った理由について書いておきたいと思います。
私の専門は消化器内科です。消化器内科がカバーする臓器は非常に多くて、胃、食道、大腸、肝臓、膵臓、胆嚢などが含まれます。しかし1人の医者がそのすべてに精通するというのは現実的に難しいので、私の場合は、胃、食道、大腸といった消化管を中心に診療しています。
医師という仕事は、当然重大な責務を負ったやりがいのある仕事なのですが、長く働くにつれて痛感したことは、「レバレッジ(てこの原理)が利きにくい」ということでした。
世の中の仕事には、努力や能力によって他の同業者の数倍の成果を上げるものもあります。たとえばトレーダーやある種の営業職がそうでしょう。
一方、一般的な医師の世界はそうではありません。どんなに頑張って外来や検査、手術を行っても、医師1人が時間内にこなせる仕事量には限界があるので、標準的な医師の数倍の量の仕事をこなすということはできません。2倍であっても至難のわざでしょう。
もし自分の信じる道があって、それをできるだけ多くの人に伝えたい、還元したいと思っても、一般的な診療の中でそれを実現することはなかなか難しいのです。
ではどのような方法がありうるのかと考えた時に、講演をしたり書籍を世に出したりすることができれば、自分が外来にいるだけでは知り合えなかったような方達にも伝えられるのではないか。そしてもしかすると口コミでさらにその知り合いの方達にも伝えられるかもしれない。そのように輪が広がっていく可能性もあるのではないかと思ったのです。
また、しばしば誤解されるのですが、私はその結果、自分の外来にたくさんの人が来て欲しいと思っているわけでもありません。
なぜなら、前述したように医師としては、2倍の量の仕事をこなすことさえ困難だからです。
それよりはむしろ、私のブログや本を読んでなにかを感じとっていただいたみなさん一人ひとりが、お近くの医療機関を訪れていただければいいのです。
そして自分の健康のイニシアチブを握り、運命を自分の方にグイッと引き寄せて欲しいのです。
私の発信した情報が、なんらかの形で私にとって見ず知らずの人に伝わっていき、その結果、なにがしかの恩恵を受けていただく。
それが医師として「もっともレバレッジが利いた状態」であり、現状で考えうる私の最高の理想なのです。
さて、書籍の方には当ブログが今話題にしている「大腸がん」や、その先に取り上げる予定の「正しいがん検診の受け方」や、「医療とお金の関係」、「医療の未来」についてもすべて書かれています。
そしてまた、安原さんには運命の大きな変転が待っています。いったいどうなるのでしょうか⁉
ぜひ書籍をお手にとって確かめてみてください!(^^)
(イラスト 近藤慎太郎)
がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」
- 作者: 近藤慎太郎
- 出版社/メーカー: 旬報社
- 発売日: 2017/02/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る