日経ビジネスオンライン第29回目は、『「がん検診は医学界の既得権益」論は本当か?』です!

日経ビジネスオンラインでの週刊連載、『医療格差は人生格差』。
前回に引き続き、「がん検診懐疑派への回答」を試みます。

 

business.nikkeibp.co.jp

 

「~は既得権益のためにやられている!」というのはよくある主張ですが、ことがん検診に関しては、まったくの筋違いだと考えます。それはなぜでしょうか・・・?

 

ぜひ、ご一読ください!

(文・近藤慎太郎)

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

 

『みかづき』 森絵都 (書評・近藤慎太郎)

みかづき

みかづき

 

 

これは素晴らしい小説でした。

本文が450ページ以上ある長編ながら、1回もだれることなくグイグイ読むことができました。

このリーダビリティの高さはただ事ではありません。

 

日本における公教育と学習塾産業。前者を太陽とするならば、後者は日陰者の月。お互いを憎み合いながらも複雑に絡み合って発展していった歴史を、学習塾産業に関わった一族の、三代にわたる登場人物の姿を追いながら活写していく物語です。

 

著者は登場人物の姿を借りて、日本の教育システムがいかに子どもたちを振り回してきたか、そしてその根底には実に根深い、官僚主義的なエリーティズムがあることを糾弾し続けています。

 

とはいえ、堅苦しい小説では決してありません。

「家族」や「教育」という呪縛に翻弄される登場人物たちの喜怒哀楽に共感し、

形を変えつつも、リレーのバトンのように世代から世代へと受け継がれていく信念に心を動かされます。

全編に漂うユーモアにクスリと笑い、ラストでははじんわりとした温かさを感じられるでしょう。

 

小説の醍醐味を存分に味わえる作品です。オススメです。

 

(文・近藤慎太郎)

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

 

日経ビジネスオンライン第28回目は、『がん検診の受診率にも影響する貧富の格差』です!

日経ビジネスオンラインでの週刊連載、『医療格差は人生格差』。

「がん検診編」は佳境に入ってきました!今回から3回にわたって、「がん検診懐疑派への回答」を試みます。

 

 

business.nikkeibp.co.jp

 

本連載ではこれまで、肺がんや胃がん前立腺がん、大腸がんなど、様々ながん検診について解説してきました。

がん検診の有用性は膨大なデータによって証明されています。しかしその一方で、解説を進めるにしたがって、様々な問題点も浮き彫りになってきました。

 

それらの情報を受けて、「がん検診には意味がない」と主張する人たちも、世の中には存在します。そしてこうした主張を真に受ける人がたくさんいます。

 

本当にがん検診には意味がないのでしょうか。それとも、問題を歪曲して喧伝しているだけなのでしょうか。はたまた、真実はその中間にあるのでしょうか。

 

ぜひ、ご一読ください!

(文・近藤慎太郎)

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

 

日経ビジネスオンライン第27回目は、『血液がん検診が人を疑心暗鬼のるつぼに落とす?』です!

日経ビジネスオンラインでの週刊連載、『医療格差は人生格差』。

今回も引き続き、「1回の検査で“網羅的に”がんを見つけよう」という試みについて解説します。

 

business.nikkeibp.co.jp

 

今回は、「血液がん検診」が世の中に普及したときにどんなことが起こりうるのか?ということを解説します。

血液がん検診が実現すれば確かに便利です。

しかしその一方で、大変深刻な問題を日本中に巻き起こす可能性が高いのです…。

 

ぜひご一読ください!

(文・近藤慎太郎)

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

 

日経ビジネスオンライン第26回目は、『え?落とし穴だらけ?血液がん検査のホント』です!

日経ビジネスオンラインでの週刊連載、『医療格差は人生格差』。

前回から引き続き、「1回の検査で“網羅的に”がんを見つけよう」という試みについて解説します。前回はPET、今回と次回はいよいよ「血液によるがん検診」についてです。

 

business.nikkeibp.co.jp

 

本連載では今まで胃カメラ、大腸カメラ、腹部超音波検査(エコー)、CT、MRI、PETといった、「画像検査によるがん検診」について、詳しく解説してきました。おそらく皆さんの中には、「血液や尿でがんを見つけるというニュースがあるけれど、あれは有用なの」と疑問に感じた人もいるのではないでしょうか。

 

確かに画像検査は、受けるのが面倒だし、時に苦痛を伴うこともあります。それがもし、血液や尿の検査(以下、血液がん検診)だけでがんの有無が分かるのであれば、体の負担も少なく、時間もかからないので、こんなに便利なことはありません。

 

血液がん検診は大きな需要が見込めるので、市場は拡大の一途にあります。様々な企業が参入し、特に最近は「がんに関する遺伝子をチェックする」ことを謳ったものも多数あります。

 

いかにも高度で信頼できそうなイメージを抱きますし、実際に「これはひょっとして有用かも」と思うものもあります。けれど現状では、全くの玉石混交なので、注意が必要です…。

 

ぜひご一読ください!

(文・近藤慎太郎)

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

 

『BLUE GIANT SUPREME ブルージャイアントシュプリーム』 石塚真一 (書評・近藤慎太郎)

BLUE GIANT SUPREME 4 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT SUPREME 4 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

山岳救助をテーマとした『岳』で高い評価を得た作者による、長編2作目。

 

仙台で高校生活を送る大(だい)がサックスと出会い、世界一のプレイヤーを目指してひたすら熱くJAZZに打ち込んでいく物語です。

厳密には国内篇の『BLUE GIANT』全10巻と、ドイツ篇で現在連載中の『BLUE GIANT SUPREME』に分かれています。

 

BLUE GIANT 1 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 1 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

BLUE GIANT SUPREME 1 (ビッグコミックススペシャル)
 

 

岳 (1) (ビッグコミックス)

岳 (1) (ビッグコミックス)

 

 

音楽をテーマにしたマンガは、当然その音を聴くことができないという決定的なハンディを持っています。しかし本作は、それを圧倒的な演出力と高い熱量を持った描写で、完璧にアドバンテージに逆転させてしまいました。

「聴こえない」ことによって、読者がそれぞれ脳内で素晴らしい音楽に補完して「聴こえている」。登場人物たちが、今どれぐらい素晴らしい演奏をしていて、聴衆がどんなに圧倒されているのか、確かにヒシヒシと伝わってくるのです。

 

前作の『岳』も素晴らしかったし、もう作者は完全にマンガの歴史において「殿堂入り」を果たしたな…と途中までは思っていました。

思っていたのですが、『BLUE GIANT』の8巻あたりでかなり雲行きが怪しくなってきます。

詳細な解説は避けますが、主人公の音楽的資質を揺るぎないものにせざるを得なかったからでしょうが、立ち位置がしっかりと確保され過ぎてしまうのです。その結果、挫折や困難と無縁になってしまい、徐々に感情移入ができなくなる。ややもすれば、単なる傲慢なヤツに成り下がってしまっているほどなのです。

そしてまるでそれを埋め合わせるかのように、もう一人の登場人物の苦しみや努力にフォーカスが完全に合ってゆきます。おそらく大半の読者はこちらに感情移入しているはずです。完全に主人公の立場と逆転してしまっています。

 

ここからは邪推かもしれませんが、作者も編集者も相当焦ったのではないでしょうか。このままではうまく話を軌道修正できないし、主人公を再び輝かすこともできない…。

そこで『BLUE GIANT』10巻でもう一人の登場人物は、実に唐突に強制退場となってしまいました。それを受けて、主人公はJAZZの武者修行としてドイツに旅立っていく…。

ここは驚くほどバタバタと話が畳まれてしまい、賛否両論あるようですが、少なくとも私はまったくついていけませんでした。そこまでの物語が素晴らしかっただけに、あっけにとられてしまったのです。

それもあって、ドイツ篇の『BLUE GIANT SUPREME』が始まっても読む気が全く起きず、4巻が出るまで手に取ることはありませんでした。

 

しかし、そこは殿堂入りを果たそうかという作者のことです。この状態からどこに向かおうというのか確認してみようと思い、再び読み始めました。

そして結論から言うと、現状までに限って言えば、強引にでもドイツ篇を始めたことは正解だったと思います。

日本人である主人公は、ドイツという異国で否応なく困難を強いられます。音楽的な部分においてはやはりほとんど苦悩しませんが、生活面やメンバー集めの面での苦労が、読者を再び主人公に感情移入させることに、ある程度成功しているのです。

しかしまだ安心はできません。

BLUE GIANT』もメンバー集めのところは非常にワクワクする魅力にあふれていました(ここはどのマンガでもRPGでも鉄板と言える部分です)。そして『BLUE GIANT SUPREME』は今同じ過程をドイツでなぞっているだけとも言えます。

問題は今後の展開です。『BLUE GIANT』と同じ轍を踏んでしまうのか。それとも一段上のステージに昇華するのか。物語は、非常に重要なターニングポイントに差し掛かっています。次巻あたりから、作者の真価が問われることになるでしょう。

 

(文・近藤慎太郎)

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

 

『LIFE SHIFT ライフシフト 100年時代の人生戦略』 リンダ・グラットン, アンドリュー・スコット (書評・近藤慎太郎)

 

この著者の前作『WORK SHIFT』も世界的な大ベストセラーになっています。

 

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

 

 

こちらもなかなか示唆に富んだ本でした。

 

それと比べると、本書の場合は同じようなことを手を変え品を変え述べているので、重複を大胆にカットすれば、半分ぐらいのページ数になるように思います(笑)。

ただ内容が面白いので、あまり気になりません。読む楽しさに溢れているのです。もちろんそうでなければ、世界的なベストセラーにはならないでしょう。

 

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

 

 

ごく簡単にまとめると、環境、栄養、医療の進歩で、大半の人が100年生きるようになる世の中で、お金、生きがいをどう持続させていくか、という内容です。

 

とはいえ、「未来を正確に予測することは不可能」だとして、それは早々に放棄しています(賢明な判断だと思います)。

その上で、1945年生まれ、1971年生まれ、1998年生まれの3人の人物のライフスタイルにどのような違いが生まれていくかをやや抽象的、概念的に比較検討しています。

 

1945年生まれの人物にとっては、人生は教育、仕事、引退の3ステージがかなりクリアカットに分かれていて、「確実性と予測可能性がある人生」でした。

しかし、人生が長くなれば、不確実性が増します。

だから、1998年生まれの人物にとっては、労働市場の変化に対応するために、人生の途中で時間を割いて(場合によっては現在のキャリアを手放して)新しいスキルを取得する必要がある。そしてその結果、生涯に二つか三つのキャリアをもつという、マルチステージの人生を生きることになるだろう、と予測します。

それは確かにそうでしょう。1972年生まれの私だってそう思いますので(笑)。

 

ただしその潮流を企業は歓迎しないだろうとも指摘します。もちろん企業にとって人材は流動性が低くて予測可能性が高いに越したことはないからです。

柔軟な働き方を求める個人と、標準化を望む企業が激しくぶつかり合うかもしれません。その一方で、そのリクエストにこたえられる企業が人気を集めて生き残っていくのでしょう。

 

またもう一つ重要な指摘があります。マルチステージの人生を実践するためには、人生の道筋を確定させることを先延ばしし、柔軟性を維持する必要がありますが、それが従来の人生を歩んできた親世代には、責任感や真剣さが足りないように映るだろうということです。世代間の相互不信に拍車がかかるだろうと。

 

ここが本書で私が一番なるほどと思った部分です。

どの時代でも「今どきの若いもんは…」と言われてきたと思いますが、たとえ同じ時代を生きていても、世代によって見えている景色というのはまったく違うのでしょう。そして若い世代に見えている世の中の諸問題は、それよりも上の世代が多かれ少なかれ参画してつくり上げてきてしまったものなのです。それを若い世代がどう評価してどう対応しようとも、口をさしはさむ権利はないのかもしれません。

 

内容についてあまり詳しく解説しても読書の楽しみを奪うだけなのでこれぐらいにしますが、基本的には「よし、じゃあがんばろう!」とやる気にさせる啓発書です。

気楽な気持ちでどうぞ。

 

(文・近藤慎太郎)

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」

がんで助かる人、助からない人 専門医がどうしても伝えたかった「分かれ目」