生と死を照らす100冊

『対話する医療』 孫大輔 (書評・近藤慎太郎)

対話する医療 ―人間全体を診て癒すために 作者: 孫大輔 出版社/メーカー: さくら舎 発売日: 2018/02/09 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 人間というのは、放っておくと何事も探究し続けるという特徴があるようです。 世…

『職業としての小説家』 村上春樹 (書評・近藤慎太郎)

前回書評をした、村上春樹の『走ることについて語るときに僕の語ること』では、「走ること」の意味について書かれていました。 本作では、小説家の本分である「執筆」について書かれています。 著者の場合、前回も解説したように,走ることと小説を書くこと…

『走ることについて語るときに僕の語ること』 村上春樹 (書評・近藤慎太郎)

みなさんご存知、作家の村上春樹が、走ることについて語った本です。 走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2010/06/10 メディア: ペーパーバック 購入: 25人 クリック: 137回 この商品を含…

『魔法のコンパス』 西野亮廣 (書評・近藤慎太郎)

漫才コンビ、キングコングの西野亮廣によるビジネス書で、2016年に刊行されています。 魔法のコンパス 道なき道の歩き方 作者: 西野亮廣 出版社/メーカー: 主婦と生活社 発売日: 2016/08/12 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (2件) を…

『限りなく完璧に近い人々』 マイケル・ブース (書評・近藤慎太郎)

この本,非常に面白かったです。 限りなく完璧に近い人々 なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか? 作者: マイケル・ブース,黒田眞知 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2016/09/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 著者はイギリス人のト…

『蜜蜂と遠雷』 恩田陸 (書評・近藤慎太郎)

以前、本ブログで森絵都の『みかづき』を取り上げました。 読了後、なんて素晴らしい作品なんだと感銘を受けました。 スケールの大きさ。 明確に、そして深く書き分けられた登場人物たち。 起承転結と静かな感動。 特に文句の付け所のない大作で、本作品は20…

『10万個の子宮』 村中璃子 (書評・近藤慎太郎)

10万個の子宮:あの激しいけいれんは子宮頸がんワクチンの副反応なのか 作者: 村中璃子 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2018/02/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る みなさんはHPVワクチン問題をご存知でしょうか? 子宮頸がんの発症に強く関…

『みかづき』 森絵都 (書評・近藤慎太郎)

みかづき 作者: 森絵都 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2016/09/05 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (18件) を見る これは素晴らしい小説でした。 本文が450ページ以上ある長編ながら、1回もだれることなくグイグイ読むことができました。 このリー…

『BLUE GIANT SUPREME ブルージャイアントシュプリーム』 石塚真一 (書評・近藤慎太郎)

BLUE GIANT SUPREME 4 (ビッグコミックススペシャル) 作者: 石塚真一 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2018/02/23 メディア: コミック この商品を含むブログを見る 山岳救助をテーマとした『岳』で高い評価を得た作者による、長編2作目。 仙台で高校生活を…

『LIFE SHIFT ライフシフト 100年時代の人生戦略』 リンダ・グラットン, アンドリュー・スコット (書評・近藤慎太郎)

この著者の前作『WORK SHIFT』も世界的な大ベストセラーになっています。 ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉 作者: リンダ・グラットン,池村千秋 出版社/メーカー: プレジデント社 発売日: 2012/07/28 メディア: ハードカバ…

『みなさまへの重要なお知らせ!!!』

当ブログを読んでいただいているみなさま、いつもありがとうございます! 当ブログは複数のコンテンツで成り立っています。 ①『がんで助かる人、助からない人』 私の初めての著作の内容を少しずつアップしています。 がんで助かる人、助からない人 専門医が…

『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』 渡辺俊美 (書評・近藤慎太郎)

作者はバンド『TOKYO No.1 SOUL SET』のギタリストです。 また、同じ福島県出身である山口隆(サンボマスター)たちと『猪苗代湖ズ』を結成し、2011年の紅白歌合戦にも出場しています。ご覧になった方も多いのではないでしょうか。 紅白の少し前、作者は妻と…

『旅をする木』 星野道夫 (書評・近藤慎太郎)

旅をする木 (文春文庫) 作者: 星野道夫 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 1999/03/01 メディア: 文庫 購入: 10人 クリック: 65回 この商品を含むブログ (67件) を見る 著者の星野道夫は、26歳で単身アラスカに渡りました。 以後18年間そこで暮らし、人の手…

『殺人犯はそこにいる』 清水潔 (書評・近藤慎太郎)

昨年、『文庫X』と称して正式タイトルを伏せられた文庫が書店で平積みになっていたのを覚えている方もいると思います。 そもそもは、とある書店員さんがその本の内容に強い感銘を受け、お客さんに手に取ってもらうためにはどうすればいいだろうかと考えたこ…

『みをつくし料理帖』 高田郁 (書評・近藤慎太郎)

もともと私は時代小説というものをあまり好んで読んではいませんでした。 読んだとしても、せいぜい司馬遼太郎や池波正太郎どまりで、特に現代の作家によって書かれた時代小説はまったくと言っていいほど食指が動きませんでした。 その唯一の例外だったのが…

『反貧困―「すべり台社会」からの脱出』 湯浅 誠 (書評・近藤慎太郎)

私がこのブログを通じて伝えたいメッセージをごく簡単に言えば、「健康を守るためには自分自身が能動的に関わる必要がある」ということです。 市区町村などを主体としたいわゆる「健診」を受けるだけでは心許なく、自分自身の疾患リスクを最小限にするために…

『がんで助かる人、助からない人』出版のご案内(著者・近藤慎太郎)

いつも当ブログを読んでいただいているみなさま、本当にありがとうございます。 実はきたる2月25日に、ブログの内容をまとめた私の初めての著書『がんで助かる人、助からない人』が発売されることになりました! もともと出版は私の目標の一つであり、ここ数…

『モモ』 ミヒャエル・エンデ (書評・近藤慎太郎)

ミヒャエル・エンデはドイツの児童文学、ファンタジー作家です。 日本でも 以前から人気は高く、その作品にふれたことがある方も多いと思います。 エンデのデビュー作『ジム・ボタンの機関車大旅行』は、1970年代に日本で放映されていたTVアニメ『ジムボタン…

『流』 東山 彰良 (書評・近藤慎太郎)

2015年に本作品は第135回直木賞を満場一致で受賞した。 流 作者: 東山彰良 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2015/05/13 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (113件) を見る 著者は、1968年に台湾で生まれたのち、小学校以降は主に日本で育っている。 20…

『カラマーゾフの兄弟』 ドストエフスキー その3 (書評・近藤慎太郎)

『カラマーゾフの兄弟』とは一体、どんな物語なのでしょうか? カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) 作者: ドストエフスキー 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2012/02/10 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る 本作品は、『罪と罰…

『カラマーゾフの兄弟』 ドストエフスキー その2 (書評・近藤慎太郎)

古典は優れた効用がある知的財産であって、捨て去るのはもったいない。 しかし、 難解。 訳が古臭い。 段落の区切りが少ない上に、字が小さくて読みづらい。 といった問題があります。 どうすればいいのでしょうか? そのような状況の中で、2006年から光文社…

『カラマーゾフの兄弟』 ドストエフスキー その1 (書評・近藤慎太郎)

古典文学と聞くとみなさんはどんな印象を持っていますか? 難解。 訳が古臭い。 段落の区切りが少ない上に、字が小さくて読みづらい。 といったところではないでしょうか? 少なくとも、私はそう思っています。 古典、その中でも特に哲学的な作品というのは…

『風の谷のナウシカ』 宮崎駿 その2 (書評・近藤慎太郎)

宮崎駿のマンガ版『風の谷のナウシカ』は、後世に残る傑作です。 ワイド判 風の谷のナウシカ 全7巻函入りセット 「トルメキア戦役バージョン」 (アニメージュ・コミックス・ワイド版) 作者: 宮崎駿 出版社/メーカー: 徳間書店 発売日: 2003/10/31 メディア:…

『風の谷のナウシカ』 宮崎駿 (書評・近藤慎太郎)

よく、「努力に勝る天才(才能)はない」という趣旨の文章を目にします。 確かに自分の才能にあぐらをかいて努力を怠ってしまい、コツコツ頑張ってきた人に抜かされてしまう人がいるのも事実です。 しかしその一方で、溢れんばかりの才能があって、さらに最…

『メメント・モリ』 藤原新也 (書評・近藤慎太郎)

「メメント・モリ」 ラテン語で「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」という意味の警句。(ウィキペディアより) 著者は東京芸大中退後にインドなどアジア各地を長期間放浪し、写真と文章が渾然一体となった作品を生み出し続けてきました。 本作品は代…

『「死への準備」日記』 千葉敦子 (書評・近藤慎太郎)

著者はフリーランスのジャーナリスト、ノンフィクション作家です。 日本とアメリカを舞台に様々なメディアに政治・経済のレポートを寄稿する一方、乳がんを患らってから亡くなるまでの6年以上、その治療と経過、自分の考えや感情の推移を克明に記録して1990…

『銀河鉄道の夜』宮沢賢治 (書評・近藤慎太郎)

みなさんの「初・宮沢賢治」はどの作品でしたか? 『どんぐりと山猫』? 『セロ弾きのゴーシュ』? 『雨ニモマケズ』? どれも忘れがたい作品です。 私の場合は『注文の多い料理店』でした。 確か、小学校2〜3年の国語の教科書に載っていたと記憶しています…

『大河の一滴』五木寛之 その2 (書評・近藤慎太郎)

前回、本書には、日本人の通奏低音として流れるイメージを喚起する力があると書きました。 大河の一滴 (幻冬舎文庫) 作者: 五木寛之 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 1999/03 メディア: 文庫 購入: 6人 クリック: 58回 この商品を含むブログ (43件) を見る …

『大河の一滴』五木寛之 (書評・近藤慎太郎)

胃がん検診の話が一段落したので、食道がん検診の話に入る前に、気分を変えて何回か書評をしたいと思います。 ジャンルを問わずというわけにはいかないので、とりあえず『生と死をテーマにした本』という縛りを設けて、少しずつ紹介していきます。 さて、第1…