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食道がんは、ほかの臓器にがんを合併しやすい!

1.食道がんはどうやって見つかっているのか?

 

さて、食道がんを見つけるための画像検査は何を受ければいいでしょうか?

食道のチェックに特化した検査というのはほとんどなく、以前に解説したとおり胃がん検診で胃のチェックと同時に食道のチェックをしています。つまりバリウム検査と胃カメラです。

 

 

以前から「胃がん検診をピロリ菌や胃炎に関わる採血項目で代用する」という考え方があり、一部の市区町村では導入されつつあります。

それはそれで理にかなっている部分もあるのですが、その場合は食道のチェックは全く行われないことになります。

胃がん検診が食道がん検診を兼ねている現状を考えると、やはり胃がん検診にはバリウム検査や胃カメラなどの画像検査を続けた方がいいのです。

 

胃がんと同様に食道がんも早期の場合は無症状です。報告によると、早期の食道がんの場合、56.9%の方が無症状でした。(注1)

また胸がつかえる、胸が痛いなど何らかの症状がある場合は、その85.8%がすでに進行した食道がんでした。

やはり、症状がでてからでは遅いのです。無症状の段階からの積極的なチェックが重要であることが分かります。

 

そして、食道がんを早期に発見するためには、バリウム検査よりも胃カメラの方が優れています。

もともと早期の食道がんは非常に見つけづらく、NBIなど光学的な技術にサポートしてもらってなんとか見つけているというのが現状です。「バリウムが食道をサッと流れた時に数枚レントゲンを撮る」というバリウム検査では、やはり不十分なのです。

実際に、早期の食道がん85.0%胃カメラで見つかっており、バリウム検査で見つかっているのは11.2%に過ぎません(注1)。

 

食道がんの手術は体への負担が大きいので、内視鏡で治療できるような早期がんの段階で発見する必要性が、胃がんや大腸がんよりもずっと切実です。

バリウム検査が有用ではないということでは決してありませんが、特にアルコール過飲や、タバコ、逆流性食道炎など食道がんのリスク因子がある方は、バリウム検査より胃カメラを優先した方が安全でしょう。

 

2.食道がんは、ほかの臓器にがんを合併しやすい!

 

食道がんにはもう一つ重要な注意点があります。

それは食道がんができた場合、ほかの臓器のがんが合併する可能性が非常に高いという事です。これは食道がんがほかの臓器に転移しているという事ではなく、全く別のがんが生じるという事です。

 

報告によると、全食道がんの18.9%に重複がんを認め、特に1.4%は3つ以上のがんが重複していたとのことです!(注1)

驚くべき数字だと思います。重複がんの種類として頻度の高いものは、胃がん(36.3%)、咽頭がん(13.4%)、大腸がん(12.1%)、肺がん(6.5%)などが報告されています。

 

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なぜ合併しやすいのかは明らかではありませんが、食道がんとそのほかの臓器のがんが、タバコとアルコールという影響力の強いリスク因子を共通点として持っているからだと思います。

つまり、タバコやアルコールが一方では食道がんを発症させ、また一方ではそのほかの臓器のがんを発症させ、結果として両者が合併することが多い、ということなのだと思います。

 

ほかの臓器のがんは食道がんと同時にできているかもしれませんし、将来的にできるのかもしれません。まんがいち食道がんと診断された場合は、そのほかの臓器にもがんがないかどうかを慎重にチェックし続ける必要があるのです。

 

さて、食道がんは今回でおしまいで、次回からは大腸がんを解説いたします。次回は2017年1月19日に掲載予定です。

みなさま、よいお年を!

 

(文・イラスト 近藤慎太郎)

 

(注1)Comprehensive Registry of Esophageal Cancer in Japan 1998-1999