1.注腸検査とは?
1.大腸カメラ
2.注腸検査
3.CTコロノグラフィー
4.カプセル内視鏡
この中で、もっとも歴史がある検査は注腸検査です。
注腸検査とは一体どんな検査でしょうか?
かんたんに言うと、注腸検査は「大腸版のバリウム検査」です。
バリウム検査の場合は、バリウムと発泡剤を口から飲みましたが、注腸検査の場合は肛門からバリウムと空気を入れて大腸を観察します。
検査台の上でゴロゴロ転がるのも同じです。腸の粘膜にバリウムをなじませて、ポリープがないかどうか調べます。
注腸検査では、大腸カメラのような出血、穿孔といった合併症が起こる可能性はほとんどありません。
また、大腸カメラの場合は観察方向の関係でヒダの裏が死角になることがありましたが、注腸検査の場合はそういう問題が起こりません。
「じゃあ注腸検査の方が正確なんじゃないの?」
と思うかもしれませんが、死角がないという利点がある一方、腸の中に残っている便を間違ってポリープと誤認してしまうことがあります。
なかなかうまくいかないものですね。
また、以前に胃のバリウム検査の回で説明した通り、
台の上でひんぱんに体位を変換したりするのはそれなりに大変です。
その他のマイナス点としては、放射線を使用するので医療被ばくがあること、病変を疑う場合は改めて大腸カメラが必要になること(二度手間になる)が挙げられます。
2.注腸検査の将来は…?
注腸検査はまだまだ現役の検査方法ではありますが、大腸カメラや次回解説するCTコロノグラフィーの普及とともに、その果たす役割は徐々に少なくなっています。
バリウム検査や注腸検査は医師ではなくて放射線技師が試行できるので、医療資源(マンパワー)の適正配分、役割分担の観点からは歓迎すべき検査なのですが、検査数の減少により技能を継承する技師も減っています。
日本の医療を長年支えてきた検査方法であって、高度な技術や知見も蓄積しているだけに、このまま失われてしまうのだとしたら、非常に残念なことだと思います。
(文・イラスト 近藤慎太郎)

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