1.大腸カメラ
2.注腸検査
3.CTコロノグラフィー
4.カプセル内視鏡
最後に「4」のカプセル内視鏡の説明です。これは長さ約3㎝のカプセル型の小型カメラを内服して、大腸全体を観察するという検査方法です。
昔、『ミクロの決死圏』という映画がありました。
重傷を負った患者の命を救うため、人間を細菌の大きさまで縮小して患者の体内に送り込み、内側から手術をする…というなかなか飛ばした設定の作品です。
また、みなさんご存知『ドラえもん』にも、しずかちゃんが間違えて飲み込んでしまったお母さんのオパールを、ドラえもんとのび太がスモールライトで小さくなって探しに行く、という話がありました。(「たとえ胃の中、水の中」)
昔の人たちもずーっと、「こんなことができたらいいのに…」と空想していたと思います。それを現代のテクノロジーを使ってちからわざで実現してしまいました。脱帽です。
大変画期的な検査方法ですし、SF的なガジェットとしての魅力にもあふれています。
みなさん関心があると思いますので、2回にわたって少し詳しく説明していきます。
口から体の中に入ったカプセル内視鏡は、カプセルの両端にあるレンズで自動的に写真を撮り続け、最終的に肛門から排泄されていきます。
撮った写真のデータは体外のレコーダーに自動的に送信・記録されるので、それを後にワークステーション上で解析するという仕組みになっています。
レコーダーさえ持ち歩いていれば、検査中に動いたり、一般的な日常生活を送ったりすることも可能です。
カプセル自体は使い捨てで(そうじゃなきゃ困りますよね?)、原則的に回収自体必要ありませんが、カプセルがちゃんと体外に排泄されたことの確認は必要です。肉眼的に目視できなければ、腹部のレントゲンを撮って確認します。
カプセル内視鏡は、1981年にイスラエル国防相の軍事技術研究機関に勤める技術者が、「体内の消化管内をミニチュアのミサイルが画像を送信しながら通過していく」というアイディアを思いついて開発されたそうです(「カプセル内視鏡 飲むだけドットコム」より)。
なかなか興味深い開発経緯といえると思います。
検査としてラクそうだというイメージもあるので、外来を受診される方の中にも「検査はカプセル内視鏡でなんとかなりませんか…!?」という方が時々いらっしゃいます。
確かに、カプセル内視鏡のメリットとしては大腸カメラや注腸検査よりラクなことが挙げられます。 また、注腸検査やCTコロノグラフィーのような医療被曝もありません。(つづく)
(文・イラスト 近藤慎太郎)
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