ちょっとタイミングが遅れてしまいましたが、先週金曜日発売の『週刊現代』に、私のコメントが数ヶ所載っています!!!
新聞などでご覧になった方もいると思いますが、先日がんセンターが、全国のがん診療連携拠点病院等のデータを集計して、がんの3年生存率と5年生存率を公表しました。
がん診療連携拠点病院等院内がん登録 2011年3年生存率、2008から09年5年生存率公表|国立がん研究センター
詳細はリンク先に譲りますが、これは全国268施設、306,381件の診療情報を使った、とても大規模なデータ解析でした。
信頼性も高く、非常に参考になる内容でした。
そして十分予想されたことではありますが、268施設のがんの生存率には結構なバラツキがあり、どうしてこれほどまでの差が出るのかということに関して、週刊現代編集部よりコメントを求められたのです。
差が出る一番大きな理由は、生存率がステージ別ではなく、トータルの生存率だということです。
つまり、治療したがんのうち、早期のステージ1の患者が多ければ生存率は高くなり、進行したステージ4の患者が多ければ生存率は低くなります。各病院における、ステージ1から4の割合がどれぐらいなのか分からないので、たとえ生存率が低くても、診療レベルが低いことにはなりません(逆も真なりですが)。
次に、たとえ同じステージでも、がん以外の合併症があるかないかでリスクが変わってくるということです。
たとえば心筋梗塞や肺気腫の既往があるとか、透析中であるとかいったことです。当然そういった合併症があるほど、手術などのリスクも高くなり、最終的な生存率も低くなってしまいます。
ですので、リスクの高い患者は他の病院に回して、リスクの低い患者ばかり治療するといった病院がもしあるならば、その病院の生存率は高くなります。
その一方で、リスクの高い患者でも頑張って治療をする病院は、その分生存率が低くなってしまいます。
今回、がんセンターがステージ別の生存率を出さなかったのは、ある意味とても優れた判断だったと思います。もしそれを継続的に出していけば、各病院はリスクの高い患者の治療を嫌がり、見た目の生存率を上昇させることに腐心するようになるでしょう。そうなってしまえば、医療の現場は大混乱に陥ります。
…などなど、その他にも色々なことが書いていありますので、ぜひ全国の書店、コンビニなどで『週刊現代』をお求めくださいませ!!!
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(文・近藤慎太郎)