1.大腸がんのリスクを高めるもの
少し前回のおさらいです。
大腸がんのリスクを高める生活習慣にはなにがあるでしょうか?
国際がん研究機構IARCや国立がんセンターの発表によると、
「アルコール」
「タバコ」
「肥満(BMI25以上)」
が挙げられています。
また、その他に
「加齢」(注1)
「大腸がんの家族歴」(注2)
「胆のう摘出」(注3)
もほぼ確実といわれています。
家族歴というのは、両親や祖父母など家族の中で大腸がんを患った方がいるということです。
ただし、「がんの家族歴があること」と「加齢」については、おそらくほとんど全てのがんで何らかの関連があるでしょうから、大腸がんだけ特別という事ではないと思います。
「胆のう摘出」というのは、胆石や胆のうがんが原因で外科的に胆のうを切除した方、ということです。
「加齢」、「大腸がんの家族歴」、「胆のう摘出後」に関しては確実なのかもしれませんが、自分でコントロールして避けられるものでもありません。自分がそれらに当てはまったとしても、必要以上に深刻にならず、一般の人よりも少しだけ大腸がんに対する留意が必要というぐらいのスタンスでよいと思います。
むしろ大事なことは、コントロール可能なリスク因子である、「アルコール」、「タバコ」、「肥満(BMI25以上)」への注意でしょう。
2.肥満度は簡単に数値化できる
さて、アルコールとタバコについては前述したので、残るリスク因子は「肥満(BMI25以上)」になります。
BMIというあまり聞きなれない言葉が出てきましたので、ここでその概念について説明します。
BMIというのはBody Mass Indexの頭文字をとったもので、身長と体重のバランスを見る指標になります。体重を、身長(メートル換算)の2乗で割ることによって算出します。
たとえば身長170㎝(1.7m)、65㎏の方の場合、
BMI=65/(1.7×1.7)=約22.5
となります。
22が理想といわれており、大きくなればなるほど肥満、その逆がやせ、という事になります。
ここではBMI25以上の肥満がリスク因子となっています。25というのは170㎝の方だと、72.25キロ以上という事になります。
みなさんもぜひ自分のBMIを測ってみてください。
大腸がんの他にも、肥満は食道がん、腎がん、子宮体がん、閉経後乳がんのリスクになるといわれています。またがん以外にも高血圧や糖尿病、関節痛などあらゆる病気と関連していきます。万病のもとと言っても過言ではないので、くれぐれもご注意ください。(つづく)
(文・イラスト 近藤慎太郎)
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(注1)Strul H, et al. The prevalence rate and anatomic location of colorectal adenoma and cancer detected by colonoscopy in average-risk individuals aged 40-80 years. Am J Gastroenterol 2006;101: 255-62
(注2)Lynch KL, et al. First-degree relatives of patients with advanced colorectal adenomas have an increased prevalence of colorectal cancer. Clin Gastroenterol Hepatol 2003; 1: 96-102
(注3)Siddiqui AA, et al. A previous cholecystectomy increases the risk of developing
advanced adenomas of the colon. South Med J 2009; 102: 1111-5